4-3.オーバーラン

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爽介たちを乗せた美和町行きのワンマン列車は最初の3駅ほどでほとんどの乗客が居なくなった。 仕事帰りのサラリーマンや学生は美和町まで行く事なく、大概はすぐに降りてしまう。 そうして、一時間ほど電車に揺られ、終点の美和町まであと三十分という頃には楓と爽介以外の乗客は居なくなっていた。 一両編成のワンマン列車の中、爽介と楓はまたしても二人ぼっちになった。 「いい加減、教えてくれません?」 動き続ける箱の中にようやく爽介の声がした。
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