4-3.オーバーラン

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「けど、琴は俺を誰かに導いてほしかったんだと思う。昔から、誰かに導かれるのも悪くないよって、たまにはそういうのもしてみたらってよく言ってた」 「そうしなかったんですか?」 「あぁ、そのたびに、俺は、『俺を導くことできるやつがいるのか?』って言ってた」 大層な自信ですね。 と思わず嫌味が出そうになる。 しかし、楓の先導力に太刀打ちできる奏者など早々に現れなかったのだろう。 それは、爽介にも分かった。 いや、爽介は絶対に分かるはずだった。 「そこに、星見、お前が現れた」 「……」 自分が唯一と言ってもいい、楓を導ける奏者だったから。 「きっと、琴、本当はドラムとビブラフォン両方できたんだよ」 「え!?」
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