4-3.オーバーラン

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「だから、次に俺たちが一緒に演奏する時までこれ、預かっておくって事で」 「つまり、それを人質に捕るのか?」 「だって、そうでもしないと二度と会えない気がするんです」 握りしめたマフラーを人質に爽介は、またどこかで一緒に演奏する約束をする。 別に、マフラーの一つや二つ楓にとってはどうってことないだろう。 それでも、一度、何かをきっかけに約束してしまえば。 「……絶対返せよ」 「はい。絶対にまた一緒に演奏しましょう」 その時は絶対に来るような気がした。 紺色の空には爽介の瞳のような琥珀の星がちりばめられていた。石言葉は「大きな愛」。 まるで愛に包まれるような魔法がいつかまた、僕らを照らしてくれる日が来ることを願って。
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