エピローグ

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エピローグ

今までで一番長い注文がようやく終わる。 カウンターの上に置かれた灰皿には煙草の吸殻が数本、転がっていた。 「と、まぁこんな感じのをさ、作ってよ。カクテル。」 「……かしこまりました。」 マスターは早速カクテルを作ろうと二本の瓶を手に取った。 慣れた手つきでグラスに氷と、瓶の中身を注いでステアする。 待っているだけで、手持ち無沙汰となった爽介は床に置いていた紙袋を持ち上げた。 そして、カクテルを作り終えたであろうマスターに「そうだ。これ。」と言って渡した。 「何でしょうか?」 「いいから、中、見てみて。」 「……?」 言われるがまま、マスターは紙袋を開ける。 対面したのは、7年前に貸したきりだったマフラーだった。 「それ、返すよ、楓さん。」
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