エピローグ

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「アンバー・ステラ。琥珀の星…」 目の前のカクテルは、それを映してる爽介の瞳と同じ色をしている。 キラキラと反射するような黄色やオレンジに茶色がぐるりと回るカクテルは琥珀のようだった。 「いただきます。」 爽介はカクテルを口に運ぶ。 広がったのは無駄に甘ったるい蜜の味と苦いリキュールの味。 2つの相反する液体の奏でるハーモニーは… 一言で言うなら、まずい。 「楓さん…何ですかこれ!」 「お前の昔話を元にしたカクテル。アンバーステラ。注文通りだろう。」 「いや、たしかに見た目はめちゃくちゃ綺麗ですよ。」 インスタ映えですよ。 載せたら多分1万いいねくらいもらえますよ。 けど何なんですか全然ブレンドしてないこの味!!と爽介がクレームを付けると楓はふっと笑った。 「見た目はキラキラしてるようで、味わえば甘くて苦くてドロドロしてるところとかこの話の通りじゃねぇか。」 「俺のあの4ヶ月って、こんなにも不味いのかよぉ…せめてこのクソ甘いシロップ?これなんですか、もう…」 「メイプルシロップ」 「何でそんなもん入れたんですか!」 楓の視線が爽介の鞄の方を向く。 そして、「それ」とスティックケースの方を指差した。
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