エピローグ

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「ん?これですか?」 「そのスティック、メイプルで出来てるんだろ?」 「そうですよ。ずっと大切にしてます。」 メイプル製のスティックは大切に使い込まれていた。 琴から爽介への最初で最後のプレゼント。 琴の形見であり、琴が爽介に楓を任せた証だ。 「俺、このスティックどこへ行っても持っていきますから。」 暖かくて柔らかい眼差しで爽介は言った。突然の宣言に楓は狼狽える。 世界中のどこに居ようと、琴に任された楓…ドラムスティックだけは傍に置く。 それが自身を造ってくれた琴との約束なような気がするし、楓が傍で合わせてくれている気がして安心する。 このスティックは爽介にとってどんな演奏でもできてしまうような魔法のスティックなのかもしれない。 「……勝手にしろ」 勝手にしますね。と爽介は嬉しそうに笑う。
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