1-2.管打楽器八重奏

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名門校ともなれば、百人以上の部員を抱えていても無理がないだろう。 そうなったとき、実に半数程の生徒は舞台に上がることができない。 一度もコンクールの舞台に足を乗せる事がない生徒がいても、おかしくない。 「あぁ、まぁ流石というかみんな上手いよ。僕も努力はしたさ。けど、どうしてもコンクールメンバーの子たちには勝てなかった」 佳貴がフルートを始めたのは高校からだった。 白長高校は公立校という事もあり、たまたま近所だったため受験した。 吹奏楽部に入るなんて思いもしていなかった。 けれども、新入生歓迎オリエンテーションで演奏を聴いてこんなに輝かしい高校生がいるのか、自分も、こんな風に輝きたい、と入部を決意した。 必死で練習した。中学からやっている子たちに追いつかなきゃと。 しかし、フルートのコンクールメンバーのオーディションには一度も通ることなく、三年間を終えた。 「僕は三年間、ただステージ裏にいただけだよ」 笑顔だがどこか寂しそうに話す佳貴に、爽介が貼ろうとしたラベルは行き場を失った。
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