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夕葉 #1 *****
働きづめの両親は、夜、夕葉のもとを訪れた。
夕葉の顔を見て笑いかけ、名前を呼ぶ。
そう、あれは彼らの声。
「ゆうは。ゆうは。」と切実に呼ぶ声。
それは、彼らの想い。
生きてくれ、目覚めてくれと語る。
親として当然の、でも特別な愛。
おとうさんと、おかあさんの。
夕葉。眠っている夕葉に、その声が、届いた―。
だから、夕葉は。
「パパっ!夕、夕葉が―。」
「えっ!夕葉。」
だから、夕葉は、目覚める。
だから、夕葉は、目覚めた。
目の前にあるのは、世界で一番、夕葉を愛してくれる人たちの笑顔。
夕葉のために、一番泣いて、笑って、汗を流してくれる人たちの笑顔。
(おとうさんと、おかあさん―。)
「おはよう、夕葉。」
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