はじまり(2)

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はじまり(2)

 壇上では男性教諭がまだ話を続けている。  俺は彼女に声を掛けようか考えていた。  その前に俺は彼女の名前さえ知らなかった事に気づいて焦る気持ちを落ち着けた。  とりあえず1年一緒のクラスなので少し様子を見る事にした。  彼女は友達から『やまっち』と呼ばれていた。  苗字が山田だから、そこからきたあだ名と知った。  名前は漢字が難しく俺には読むことが出来なかった。  俺はオーラを発していない山田の事が気になったが、夏の大会に向けてバスケットボールの部活に励んでいた。  せめて一勝くらいしたいと言う気持ちで。  新学期が始まり1か月程が過ぎたころ昼休みの休憩時間に、偶然一人でいる山田を廊下で見つけた。  俺はそれまでにどうやって山田に接触し、どう話を聞こうかといろんなパターンを考えていた。   出来れば俺の能力を隠した状態で聞き出すのが望ましいが、どう考えても理由を言わないと成立しない話だと思った。  山田には最悪秘密にしてもらえばいいと考えた。例えバラされたとしてもそれを信用する奴なんていないとも考えたからだ。  そして俺は衝動的に山田に声を掛けてしまった。  「山田さん、ちょっといいかな?」  山田は俺に不審者でも見るような目つきで見て「あっ?誰?」それが第一声だった。  俺は少しその言葉に動揺したが、まあ当然の言葉かもしれないと思った。俺はクラスでは体はでかいが空気の様な存在だったからだ。  一呼吸し続けた。
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