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はじまり(3)
「あっ同じクラスの伊藤だけど」
山田は少し思い出すように目を左右に動かし「ああ、居たような気がする。で、何?」
「山田さんに聞きたい事があるんだけど」
「だから、何?早く言えよ」
「その、ここでは少し言いにくい話なんだけど」
「はぁ!?告白なら間に合ってるんだけど」
山田の告白の言葉で周りの数人の生徒がこちらに目線を合わすのが感じられた。
俺はすぐに訂正に入った。
「いや、告白じゃなくて少し込み入った話なんだけど」
山田は俺の顔を少し怪しむように見た後「その話は面白いの?」
「どうかな、興味ある話だとは思うよ」
山田はうーんと言い右手で頭を少しかいて「じゃあ、午後のホームルームが終わったら上の階の美術室前でいいか?」
俺は山田のナイスな提案にすぐに飛びついた。
「うん、それでお願いするよ」
そして俺は山田と別れた。
午後の授業が始まったが俺は勢いで山田と約束をした事を考えていたので、まったく先生の話は俺の頭には入らなかった。
俺はオーラがない山田に声を掛けたが、当初はオーラがある女子に声を掛ける計画を立てていた。
しかし良く考えてみれば中学生でオーラがあるのは当たり前の事ではないかと思った。
携帯のSNS上では小学生から体験したなどの経験談が書かれていたが、そんなのはほんの一部で俺の周りではそんな人はいなかった。
俺が住んでいるのが田舎だったからかもしれないが…。
例えばオーラがある人に〇〇ですよねなんて聞いても、当た前の返事が帰って来るのが予想できたからだ。
そんな事から俺は中学の同級生でオーラがない女子を探していたのだ。
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