はじまり(7)

1/1
89人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ

はじまり(7)

 「まあ、いいや。それでレイコは処女なんだよな」  「うん。でも、なんでそれが分かったの?」  レイコが聞く。  「そうだよ、やまっち。なんで私がヤッた事も分かったの?」  ヒロミも山田に聞いてきた。     山田は右手の人差し指を口元に当てると「それはちょっと言えないなぁ、秘密だ」  少し小悪魔的な表情で三人を見つめていた。  「なんだよ、それ~」と三人から言われていた。  俺はそこまでの光景を見て山田に声を掛ける事にした。  「山田、俺はそろそろ行くな」  山田は俺に振り返り「ああ、又な」とだけ言い又三人に振り返った。  「あれ誰?」「ああ、クラスの奴」そんな会話が聞こえたが俺は教室を出た。  俺は教室を出ると今起こった光景を思い出しながら自分の教室へ歩き出した。  俺のこの能力はやっぱり処女を見分ける能力だった。  自分でも予想していたが、いざ知ってしまうと何となくあっけない感じがした。 ◇  山田とはあれから得に話をしていない。  山田もそれほど俺の能力に興味がないと思えた。  俺もそれ以上誰かに能力の質問をする気もなかった。  俺は能力より部活のバスケを優先した。  大会まで後2か月ちょっと最後まで…その思い出部活に励んだ。  そして夏休みに入り最後のバスケの大会が行われた。  結果は残念な結果だった。  点数差はそれ程ではなかったが、あきらかに実力差があった。  そして俺の中学のバスケットボールは幕を閉じた。  俺は引退した後も少しだけ後輩の育成に協力して、ちょくちょく体育館に顔を出したりした。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!