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あぁ神様、どうか願いを叶えてください。
私の願いはただひとつ――――
私は何度この声に呼ばれているのだろうか。彼ら人の子が望むものは呪いめいたものに名誉や修正と様々だ。
あいつが憎い、殺せずに死んだことが悔しい。
死後、自分の作品が認められるようにしてほしい。
あの時の間違いを正したい。
―――飽き飽きしている。まるで欲望のままの獣のようだ。
だが中にはそうでない、珍しい人もいる。この夫婦もそうだ。
かたや、自身が死んでも夫を生き返らせてほしい。
かたや、自身が死んでも妻を生き返らせてほしい。
実に、面白い。自らの過ちや運命を否定するのではなく、そして自らにとって利益のない選択をする。
これの偽善であれば、現世でも見られることだ。だが死後に神の前で願いを叶えられる、という状況においてそうできる者は多くない。
そういう者には、ただ望み通りのものを与えるのはつまらない。
いや、失礼というものだろう。こうして珍しいものを見られた時には、人間は感謝をするという。
神ができる感謝といえば、そう―――
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