プロローグ:十年前の約束

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 兄さんとのスタミナもとい肉体能力の差を埋めるため、大気中もしくは龍脈を流れる霊力を吸収し、肉体能力の限界を突破する``天地龍功(てんちりゅうこう)``という技を習得しようとも考えた。  でもそれを使いこなすには、少なくとも流川(るせん)の平均基礎体力がないと身体が限界突破に耐えられないという厳然たる現実が、容赦なく僕の前に立ち塞がった。  結局、基礎体力は最後の最後まで、僕の理想を阻む最大最強の壁として立ち塞っているわけだ。今の僕はもう、武器を持つことを半ば諦めていたりする。  では何故修行を続けるのか。  もしかしたら武器を持てるようになるかもしれない。などという曖昧で非現実的な希望に縋っているからなんだろう。  僕はそんな淡い希望を胸に、終わりの見えない基礎体力作りをひたすら続けているのだ。いつか、兄さんとともに武器を携え、戦場に立てる事を願って―――。  でも、僕の純粋な想いとは裏腹に、現実は尚も非情だ。それから更に時が経ち、僕は道場に通わなくなった。  終わらないロードワークに、遂に嫌気がさした。というのもあるけれど、それ以上に僕が道場を通うのをやめる事にした、確固たる理由があった。  それは、出口の見えない基礎体力作りを続けていたある日の事。 「できたッ。ついに完成した!!」  僕は白いボディの小型ドローンを手に持って、二階の私室から飛び出す。
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