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ある一人の女性が、窓際で眠っていた。
白銀に輝く月の光が、白いベッドに降り注ぎ、春の夜風が彼女のブロンドの髪を揺らす。
窓に背を向けた女性の目の前に、“それ”は降り立った。
「……」
彼女の流れるような金髪を、一房掬い取り、口づけを落とす。白い陶器のような肌を撫でると女は小さく声を上げた。
「ん……」
眠りが浅くならない内に、彼女の細く白い首に手を当てた。愛撫するように締めてやれば、女は息苦しそうに薄目を開ける。
意識がはっきりする前に”それ“はナイフを振り上げた。月の光が反射して、きらりと光る銀のナイフを。
グサッ。
ドスッ――
グチャ……。
月明かりの眩しい夜。
赤く染まった身体を、月光が照らし出した。
その人物は、指先に付いた赤い血を、ぺろりと舐めた。
――Are you happy?――
その人物の正体は、誰も知らない――。
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