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考え事をしながら500メートルほど歩くと、何とパトカーが止まっていた。サイレンこそ鳴らしていなかったが、赤いランプがクルクルと回転して周囲を照らしている。
そういえば、本来この世界に存在しない人間がここにいて問題は起こらないのだろうか。彼女の見た目は未成年、ましては少女。うかつに家に泊めたりすれば逮捕される恐れもある。
僕は唾を呑むと、なるべく平静を装いながらパトカーの横を通り抜けようとした。警察官は玄関前で家の人と思しき人物と話をしている。よし、そのまま、そのまま気付かれる前に通り抜けよう。
「おお、何だ…なんじゃこの光は!」
僕は驚いて少女を見た。そうだ、コイツはこの世界の人間ではないのだった。少女の目はキラキラと光りながらパトカーの赤い光に向いている。それだけでなく手を伸ばして触ろうとしているではないか。
『よせ、馬鹿!』
少女を一生懸命止めていると警察官の片方が僕を見た。
その視線が合ってしまった。
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