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「ちょっと君!」
『は、はい!』
警察官は駆け寄ると、僕と少女をじっと見た。
「一体、何をやっているのだね?」
背中から滝のように汗が流れ出た。気まずいし不味い状況だ。何とかごまかさないと。
『こ、こいつ…筋金入りの特殊車両オタクでして…その、気にしないでください』
そう答えると警察官は笑った。
「ああ、最近はいろいろな子がいるからね。それよりも…こういう男を見かけなかったかい?」
警察官はそう言いながら1枚の似顔絵を僕らに見せた。
鉛筆で書かれた細面の男だ。顔にはこれといった特徴はなく、意識しなければすぐに忘れてしまいそうに感じる。
「特徴のない男…」
「通り魔事件が多発しているんだが、その近くでよく目撃されているんだ」
『なるほど…』
もう一人の警察官が出てくると、彼らはパトカーに乗り込んだ。
「見かけてもうかつに近寄らず、すぐ我々に通報して欲しい」
『わかりました』
パトカーは間もなく走り去った。
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