共同生活、開始

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 レイは険しい顔をしながら、そっと立ち上がり、窓の前まで歩みを進めた。何だろう。誰かいたのだろうか。  彼女はジロジロと窓の外を眺めている。 『レイ?』 「何だこの硝子は? なぜ、ここまで曇りもないきれいな透明なのじゃ? それに、この網は…」  彼女はそう言いながら網戸を指でつついた。 「おお、弾力がある! 材質は…何じゃ?」  その瞳が僕に向いた。 「おい、ハジメ! これは一体何なのじゃ!」 『そ、それは網戸と言って…虫を入れずに空気を入れ替えるものだよ』 「む、虫を入れずに!?」  レイはそう言いながらジロジロと網戸を見た。姿勢を変え、目線を変えてという様子で10秒ほどすると再び僕を見た。 「確かに、虫は入りそうもない…ハジメ、これはどうやって作ったのじゃ!?」  僕に聞かれても困ります。
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