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レイはスンスンと鼻を動かした。
「まさか…」
僕は実際にトイレのドアを開いた。
シャワー機能付きの洋式トイレ。大屋さんの話では前の住人が置いて行ったのだという。レイはじろじろと便座を見回した。
「やはり、水洗式か」
『このボタンを押すと、勝手にトイレが尻を洗ってくれる』
レイは神妙な顔のまま僕を眺めた。
「と、トイレが…勝手に?」
『うん』
彼女は目を白黒させると、トイレをじっと眺めた。
「お主の世界は…一体、どうなっているんじゃ?」
『むしろ、君の世界では、どうなってるんだい?』
「水洗トイレが置かれているのは宮殿や豪邸くらいじゃ。一般庶民の家では、金を出し合って汲み取り式トイレを作って、共同で管理しておる」
そう言いながらレイは、トイレットペーパーをそっと触った。
「のう、この紙は何に使うのじゃ?」
『尻を拭く』
「はぁぁっ!? この上質な紙を…使い捨てじゃと!? 罰当たりな!」
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