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トイレから出ると、レイはシャワールームに興味を持ったようだ。じっと眺めると僕に視線を向けた。
「この小部屋はなんじゃ?」
『シャワールームだよ』
「シャワー? 水の気配を感じるが…こっちは一体、何をする場所なのだ?」
『体を洗う』
「身体を?」
僕はガラス張りの引き戸を開くと、シャワールームを見せてみた。それはとても狭く、1畳あるかないかという空間だ。床も壁もタイル張りになっており、レイから見れば異様な空間に見えるだろう。
「何じゃ? こんなものでどうやって身体を洗う?」
『こうする』
僕はレイの目の前で蛇口を捻ってみた。当たり前だがシャワーヘッドから水がザっと姿を見せる。レイは「ややっ!?」と声を上げていた。
「こんな風に水が出るとは…それに、よく考えればここは2階ではないか!」
レイは排水口に流れ落ちる水を眺めながら言った。
「先ほどのトイレと言い、台所と言い…この施設はとんでもないな」
シャワーの水を切ったら、レイは「待て」と言って僕を見た。
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