カルチャーショック

6/15
39人が本棚に入れています
本棚に追加
/274ページ
「せっかくじゃ、このシャワーというものを試してみたい」  レイはそう言うと僕を追い出してシャワー室のドアを閉じた。僕は驚いてレイを眺めた。彼女は服を着たままだ。このままではびしょ濡れに…  シャワーが身体にかかる音が聞こえてきた。もう手遅れだったようだ。  僕は大きなため息をつくと、棚に入れたバスタオルを1枚出し、着替え用のバスケットの上に乗せた。 『ここにタオルを置いておくから。あと…びしょ濡れになった服、こっちのバケツに入れておいてくれ、きちんと乾かさないとカビるから』  そう言葉をかけると少しだけドアが開き、濡れ髪のレイがひょっこりと顔を出した。 「何を申しておる。まさか、わらわが服を着たまま水を浴びるとでも思ったか?」  どうやらレイは一瞬にして服を脱いでいたようだ。ここに来た直後には僕と似た格好をしていたし、どんな魔法を使ったのだろう。  僕は首を捻りながらも台所に退避した。  少しするとシャワーの水滴が流れ落ちる音が止まり、レイは腕を伸ばした。 「そのタオルというものを取ってくれ」 『え、うん…』  タオルを渡すと、レイは浴室内で身体を拭き、何とそのまま出てきた。
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!