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奥の間は寝室兼居間になっている。エアコン、テーブル、テレビなど、どこの家にもあるものばかり。変わったものと言えば三角錐のオブジェくらいだ。
彼女はまず畳に目を向けた。
「草を編んでいるのか…珍妙なものをマットにしているのう」
『これは、畳というんだ』
「たたみ?」
彼女は次に壁や柱に触れた。
「これは…丈夫そうじゃの。材質は木か…」
『この国はよく地震が起こるんだ。耐震基準は厳しい』
「地震…地の精霊の力の強い地域というわけか」
レイは電灯に目を向けた。
「これは?」
『電灯だよ。こうすると明かりがつく』
「ああ、先ほど洗面器にもあったランプのようなものか。これほど眩しいのだが…光の精霊の姿を見ない。どういうカラクリなのじゃろうな」
座布団を出すと、彼女は腰を下ろした。
「まあいい、今はこれからどうするのか…話し合わなければの」
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