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箱の中には金色の貨幣が入っていた。数に直して400…いや500枚はありそうだ。
『これ…本物!?』
「うむ、我が故郷で使われるアンフェール金貨じゃ。これ1枚で人食い鬼を丸1日こき使える」
僕の世界で1万円ほどの価値だろうか。いや、人食い鬼なのだから普通のモンスターより強いだろう。2万円以上の代物かもしれない。
レイは金貨を1掴み掬い取ると、僕の前に置いた。
「お主に与える。当面の活動費とせよ」
『あ、ありがとう…でも』
そう言いながらレイを見ると、意外そうな表情をしていた。僕がもっと喜ぶと思ったらしい。
『これ、換金したら…刺客に見つかりやすくなるんじゃない?』
レイは口を半開きにし、そうだったと言わんばかりに頷いた。
「そ、そう言われてみればそうじゃ! お主…思った以上に知恵が回るの!」
『とりあえず、これ…返すよ』
「う、うむ…」
レイは金貨を回収すると、指をはじいて金庫を消した。
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