デート…なのか?

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デート…なのか?

 目覚めると、時計の針は7時50分を指していた。  外からは日差しが差し込み、頭の芯にまで光が入って来る。目をつぶっても二度寝はできないようだ。  レイは、頭から掛け布団を被ったまま寝息を立てていた。いくら自分の方が強いとはいえ、僕のような男の家で熟睡できるのだから肝が据わっている。  ゆっくりと起き上がると、そっとレイに声をかけた。 『姫様、ひ め さ ま~』 「うるさい…」  レイを茶化したのには理由がある。実は昨夜、僕が台所で就寝しようとしたら、彼女に止められたのだ。それも"主の元を離れる剣がどこにいる!?"と有無を言わさぬ剣幕でだ。  彼女なりの気遣いもあるのだろうが、それ以上に敵の夜討ちを警戒しているようだ。”すくみ”を考えると、恐れているのは神族だろうか。  もそもそと布団が動くと、ネグセを付けたままレイが起き上がった。目を半開きにしたままの姫とは呼べない不細工な寝起き顔。彼女はゆっくりと伸びをし、欠伸をした。 『君のいた世界から来る刺客って…もしかして神族?』  レイは目をこすると、やっとの様子で答えはじめた。
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