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9時57分。スーパーの前にやってくると、店の中で店員たちが開店作業に追われていた。
「これがお主の世界の商店か。中も凄いの」
『もうそろそろ開くと思う』
会話を楽しむ間もなく店員が自動ドアの鍵を開けた。それだけでなく買い物かごを差し出してくれる。会釈をして中に入ると、レイは口に手を当てたまま店の中を眺めていた。
「な、な、な…何じゃここは?」
店内には音楽が鳴り、冷ケースからは涼し気な風が漂ってくる。棚や冷ケースの中には、青々とした野菜や果実がたっぷりと並び、キノコや根菜類なども手頃な値段で売られていた。
「これが、お主の世界の…市場なのか」
ただのスーパーマーケットなのだが、説明が面倒なのでスルーした。
僕は予定通りに調味料コーナーに向かった。そこに行けば胡椒も売っているはず。
『あれ…?』
売っているはずなのだが、胡椒のコーナーだけきれいに在庫がなくなり、お詫びの札だけが残されていた。
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