第1戦 人を食らう武器

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『昼食はそこに用意したから食べて。それから、呼び鈴が鳴っても出なくていいよ。どうせセールスか何かだから』  そう答えると、レイは不満そうに僕を見た。 「野良仕事など放っておいて、わらわを守れ」 『あのねぇ…仕事しないと、生活できないから!』  そう強い口調で言うと、レイは渋々という様子で言った。 「今のお主なら、どこの勢力でも三顧の礼で迎えるだろうに…」  レイはこの世界のことをよく理解していないようだ。 『じゃ、行ってくるよ』 「うむ、気を付けての」  そう言ってドアを閉じた。僕が向かうのは勤務先である配送センター。週5日で9時から17時までの7時間勤務(1時間休憩)。休日は火曜日と金曜日の2日。レイと出会った日は月曜日で、帰宅途中で交通事故に遭っている。  歩き慣れた道を進んで行くと雑木林が姿を見せた。ああ、ここか…と心の中で呟くと、痴漢に注意という看板を一瞥した。  この場所は、廃工場、雑木林、墓地と嫌なもの3点セットが並んでいる。勤務先でも有名で、"あの痴漢ってお前だろ!"と仲間とふざけ合っているが、基本的にこの道は誰も通りたがらない。  とはいっても、白昼堂々と痴漢が姿を現すはずもなく、僕は予定通り配送センターにたどり着いた。
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