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プロローグ
―慧、おいで―
―ママ!―
1人の女性が呼ぶ声に、まだ小さな男の子が駆け寄って抱きつく
―はは、慧はママが大好きなんだな―
―パパも好きだよ!―
―慧はほんとに元気ね―
幸せな家族
誰もが羨む関係
突然、辺りが真っ暗になり少年1人になる
―あれ…?ママ?パパ…?どこ?―
―お前のせいだ―
―誰!?―
声が聞こえる
冷たい、凍てつくような声
辺りは真っ暗なままで、どこからその声が聞こえるのか分からない
―どうしてお前だけが幸せになってるんだ―
―知らない!何の事言ってるんだよ!!―
―お前が居なければ…お前が生まれて来なければ良かったんだ―
地面が割れて少年が落ちていく
―ごめんな、慧。もう一緒に居られない―
―パパ?一緒に居られないってどういう事?―
いつまでも落ちていく
深い、深い夜の底へ
―慧、ごめんね。おばあちゃんの所に行ってね―
―ママ…やだよ。一緒に居たい―
落ちているはずなのに、いつの間にか誰かに首を掴まれている
―苦し…―
―お前より俺たちの方がずっと苦しいんだよ―
またあの声だ
意識が薄れていく
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