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クラスのカースト上位にいるようなモテモテな男。
俺は、こいつのことが嫌いだった。
別に、なにかこいつにされたわけじゃないけど、自分にはないものを持っていてただ羨ましかったんだと思う。
だからかな、魔が差したんだ。
昔から「女の子みたい」とからかわれ、高校生になってもそんなふうにみられる。
挙句は、ちょっと女装しただけで、ナンパされる始末だから笑える。
でも、この容姿のおかげで、嫌いなクラスメイトを騙せることができるとわかって、俺は内心浮き足立っていた。
「十羽ちゃん、デートできる日教えてね!」
キラキラした笑顔のまま、俺に手を振って去っていく。
「だから、キラキラしすぎなんだって.......いつも」
俺は、その笑顔が嫌いだった。
だから、その笑顔を奪ってやりたいなんて、黒い気持ちでアイツの誘いに乗った。
『こら、いつまで外にいるのよー!もう出勤時間よ!』
姉貴の怒鳴った電話なんか、大して気にならないほど、俺は浮かれていた。
クラスのカースト上位にいるアイツの悔しそうな顔が見られると思ったら、姉貴の激怒なんて大したことがなかった。
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