亮太さんを置いていけない

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ある日の帰り道であった。 その日は雨が強く、先も見えない状況で私は傘を必死にさしながら歩いていた。 夜に黒い傘なんてもってこなければよかった。 素直にお母さんに迎え来てもらえばよかった。 後悔してもしきれない。 私は小道を100キロ以上出して飛ばしてきた軽自動車に後ろから突き飛ばされた。 飛んでいる間私は冷静だった。 私は死んでしまうのか。 それにしてもどんだけ急いでたのよあなたは。 そして記憶が途切れる。 私は即死だった。 病院で心肺蘇生を繰り返し行われているが、私の命は戻らなかった。 心拍数は0のまま。 でも私は今こうやって私が死んでいることを見ている。 どういうことだ。私は誰だ? なんと、私の魂が体から抜けてしまったのだ。 魂って空気のような感じ。 自分でその場にいようと念じていないと、 すぐにでも上に行ってしまいそうな感じだ。 生身の私を観察していると、ほどなくして亮太さんが来た。 亮太さんは私を見て、大泣きしていた。 「こんなの嘘だ!あり得ない!美香がいなくなるわけなんてない!」 亮太さんは走って帰ってしまった。 そんな亮太さんを私は追いかける。 私は魂になってしまったけど、亮太さんのそばにいるわ。 その声はもちろん亮太さんには届かない。 亮太さんはそのまま部屋へと帰り、布団にこもってしまった。 次の日亮太さんは、いつも通りに起きた。 寝顔がかわいいな~なんて見とれていると、 信じられない行動をした。 いろいろ考えていたようだったが、なんと私の携帯に電話をかけたのだ。 もちろん、私の携帯は事故で砕けてしまっていて、つながるはずもない。 だが、ライン電話だから、特に電源が入っていないなどのアナウンスは出ない。 つながらずして、落ち込んでいる。 なにしてるの!昨日の私をみたでしょ! 私に電話をかけてもつながるわけないでしょ! 何度か電話をして諦めたようだ。 そして、亮太さんは、私にラインをした。 「昨日はごめんね、そして僕もあんまり覚えてなくて申し訳ないんだけど、 一度お話しできませんか?連絡待ってます。」 もしかして、、、 なんかちょっとずつ見えてきた。 亮太さんは私との昨日のことをショックだったのか覚えていないのかな。 それなら、私の事まで忘れてしまったほうが楽だろうに。 忘れられたら悲しいけどね。 それから、亮太さんは毎日私にラインを送るようになった。 大丈夫よ、既読はつけられないけど、 私は毎日見てるからね。
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