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転校
僕は極度に内向的で生真面目。反面、面白い所がある。だから幼馴染に恵まれた故郷では、幼馴染を媒体に友達の輪を広げて行き、内向的な性格でも友達が一杯いて明るくてクラスの人気者になる事も有った。けれども、小学4年の秋に父親の断行した引っ越しにより転校を余儀なくされると、内向的な性格が祟って急激な境遇の激変に順応出来ず友達も出来ず一転して暗くなり苛められっ子になった。
僕は転校してから一週間位、授業中、毎日、泣いていた。これから思春期の直中に入って有益に作用する筈であった馴れ親しんだ故郷での楽しかった日々が、築き上げて来た、その全てが、良き思い出でしかなくなった状態の中で情緒纏綿なるが故に、その一つ一つの思い出の中の友達の事を思慕しながら泣いていたのだ。別に思慕しなくても、つい先日まで馴れ親しんだ者ばかりに囲まれていたのに周りを見渡せば、馴染みのない者ばかり・・・その現実に置かれた自分の立場を思うだけで侘しさと虚しさと切なさの余り自然と涙が溢れ出てしまうのだ。何と悲しい事だろう。一体、誰がこの悲しみを理解出来るだろうか。この深い悲しみは当該者でなければ、到底、分かるまい。僕の父は我が息子を斯かる苛酷な立場に追いやったのだ。何と罪な事だろう。
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