人間嫌い

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 僕は煮え湯を飲まされる様な苛めに苦しむ中、人間のオポチュニズム(若しくは事大主義)に基づいて節操無く靡いたり、寝返ったり、御先棒を担いだり、弱味に付け込んだりする性質をまざまざと見せつけられ、道化を演じて勝ち得た友好関係が如何に薄っぺらなものであったかを痛感し、「利に関するメリットを失っても義に関するメリットを持ち続ける僕は、利に関するメリットを求める者には裏切られても義に関するメリットを求める者には裏切られる筈はないが、肝心の義に関するメリットを求める者が柿野がいなくなった今、皆無と来ているから僕は道義的に孤独になるのだ」と悟るに至り、人間に虚無感と軽蔑心を覚える事、極まりなくなり、厭世観を深める仕儀と相成った。
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