人間嫌い

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 斯くして苦楽寵辱を存分に味わい栄枯盛衰の中学二年を暗闇の内に修了した僕は、三年生になってから昨日の錦今日の綴れで人気者だった頃の鬱勃とした生気に満ち溢れた姿は見る影もなくなった。その暗さは一年生の時とはまた違った深刻な様相を呈していたに違いない。そうなると折しも俗世では、人を評価するに当たり上辺の明るさを重視する傾向がより強まっていたので本来、見た目は明るいが根は暗いという意味の根暗という流行語を誤解して見て目が暗いのを根暗と解釈した比較的横着な部類の男子生徒の間で「ネクラちゃん」と渾名され、揶揄されるようになった僕は、時に酷い苛めに遭う憂き身になってしまった。
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