人間嫌い

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 而して月日を重ねて行く内に、「自分の人格主義に立脚した価値観は倫理的で自分が評価した自分は誇っても良いが、薄っぺらな価値観を持つ他人は着眼点が悪く、上辺の明るさに重きを置き、中身の品性に重きを置かないで人を評価する為、自分を正当に評価しない」という思いを強くして行き、同時にそのアポステリオリな他人に対する認識とその他のアポステリオリなそれに加えてアプリオリなそれによって他人に対する軽蔑心と虚無感を深めて行き、自分が暗くなる正当性を身を以て自分に証明した。  仍って僕は自信と自尊心を客体としての自己に持てない代わりに主体としての自己に持てるようになり、十五歳にしてニーチェの言葉を借りて言えば、大いなる尊敬者となり大いなる軽蔑者となり、自分を好きになる代わりに他人を嫌いになり、元々神経質な上に倫理的に潔癖という意味で癇性な質だけに他人の嫌な面を見抜き蔑ろに出来ないので到頭、人間嫌いと言っても良い位、人間嫌いになった。
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