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僕は冗談好きの柿野の事だからと一縷の望みを抱きつつ、「う、嘘だろ、またあ、脅かそうとしてえ・・・」と言ってみた。が、柿野は神妙な態度の儘、言った。
「いや、残念だけど、こればっかりはほんとなんだよ」
「ほんとに?」と僕は聞き返したが、柿野の沈んだ様子にもう絶望していた。
果たして、「ああ・・・」と柿野が土気色の顔で答えると、「そっ、そんなあ・・・」と僕は答えるしかなかった。
「全く残念だ・・・」と柿野も答えるしかなく僕らは揃って深い溜息をつき、その儘、項垂れ沈黙した。やがて僕は顔を少し上げ、彼の様子を窺ってみると、あの明るい柿野が・・・と心配になって呼び掛けた。「なあ、柿野!」
「ん?」と柿野は小さな声で答えると、徐に土気色の顔を上げた。
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