+ 蜘蛛の糸の街 +

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針鼠には 娘がひとりいました 「わたしのあたまをなでてくれて  おやすみのキスをしてくれる  お母さんがほしい」 その娘に 針鼠は本を読んであげながら 「そばにいてあげる  頭を撫でてはあげられないけど  キスをするかわりに魔法を 願いが叶うように」 本を読み続けました 夢に漂う虹の物語を そしてその終わりに 「おやすみなさい  ただいまの声が聞こえるまで」 次の朝 針鼠が旅立つ時間がきても 娘は起きませんでした
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