+ 旅立ち +
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針鼠は 娘に読んであげていた本を手に 初めて街から出ました 若木がしげる森の中で 黄色い光がまじった緑の葉が 針鼠の行く先を いたずらに邪魔するので 回り道をしたり 進むのを止めて 太陽が今は遠い街の方へ降りていくのを見守ったりしました まだ目指す当てもないまま 針鼠は 暖かい風の吹く方へ歩き続けます そして 軽やかな手拍子の音とともに 朱い花びらの降る村にたどり着いたのでした
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