公園と女の子

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ある日の午後2時のこと。25歳にもなって、俺は1人で公園に足を運んでいた。こんなことするぐらいだったらバイトでもしろ!と心の中では自分にそう言い聞かせているけれども何かに取り付かれたかのように俺は歩いていた。そこに行けば何かがあると思いながら。 歩き始めて数10分、俺は公園に着いた。その公園はブランコと滑り台しかないお粗末な公園だったがそれでも俺は少しワクワクしていた。ブランコでもしようかと思いブランコの方に歩き始めるとそこに俺と同じように1人でいる中学生ぐらいの女の子がいた。かなり気まずかったが、俺はブランコに乗った。懐かしい気分になっていると、不意に女の子が俺に「お兄さんには悩みがありますよね。」と声をかけてきた。かなりビックリしながらも俺は「ああ、そうだよ。俺には悩みがあるよ。けどどうしてわかったの?」と聞いた。すると女の子は「当たり前です。そんな暗い顔している人が悩みを抱えていないはずがありません。私でよければ話聞きますけど。」と落ち着いた声で言ってきた。そんな声に安心感少し感じた俺は「暗い話になるけど話してもいいかな?」と聞くとやはり女の子は落ち着いた様子で「はい、どうぞお話してください。」と言ってきた。そして俺は話始めた。自分の今までの人生のこと・就職先でリストラされたこと・彼女がお金を持って消えたこと…色々なことを話しているうちに気づけば6時だった。さすがに時間をとり過ぎたと思って「ごめんな、こんな暗い話して、時間とって。家の近くまで送るよ。」と謝罪したすると女の子は「いえ、大丈夫です、私に帰る家はないので」「は?」俺はビックリして女の子のいる後ろを振り向いた。そこに女の子はもういなかった。そして俺は思い出したこの公園にはある噂があることを。その噂は悩みを抱えた人が公園に入ると知らない女の人が悩みを聞いてくれることを。そしてその女の人は話を聞き終えると消えることを。その噂を作ったのは俺だということを。
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