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「おお」
不意をつかれて、間抜けな声で応じる。私服の彼女たちは揃ってTシャツとデニムのショートパンツやスカートという出で立ちだった。校則の厳しいうちの学校では見慣れない、華やかな赤、黄色、緑を纏っているせいで、名前が一瞬思い出せない。
「勉強してたの? すごいなー、鹿児島大受けるんでしょ」
「え、ホントっ? 鹿児島国際じゃなくて?」
「頭いいんだよ、鮎川くん。ねえ? あのさ、今度教えてよ、私、英語苦手でさ」
節分の豆まきのような騒々しさに戸惑っていると、先生が、
「同級生?」
と誰にともなしに尋ねた。
「鮎川くんの、お姉さん?」
返事をするより前に、彼女たちの誰かが疑問をぶつけた。
ちいさな豆を振り払うように、
「そんなようなものです」
と、先生はえくぼを作って微笑んだ。
「え、まさか彼女?」
「バカ、そんなわけないでしょ」
「あの、鮎川くん」
小突きあう友人たちを押しのけて、ひとりが前へ進み出た。
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