10 エピローグ、太陽の中心で交わしたキスは甘くて苦い

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あの日の帰り際、フッキーは彼女に告白した。フッキーはいいやつだ、俺も尊敬するぐらいのいいやつだ。きっと彼女はオッケーするだろう…… 俺も告白することを考えたが、今まで散々にボロクソに言ってきた俺なんかが告白したところで、返ってくるのはビンタだろう。しかし、フッキーも彼女が好きだったとは…… 彼女の魅力に気がついているのは俺だけじゃなかったのか…… 他の女子が綺麗な花なら、彼女は一際輝くショクダイオオコンニャクぐらいの魅力がある。褒めてるように聞こえないが、俺としては最高の大賛辞のつもりだ。 彼女は何故か分からないがフッキーの告白を断った。あんないいヤツの告白を断るなんて…… 案外見る目無いんだなと思う反面、彼女がフッキーのものにならなかったことを心から喜んでしまった。 ごめんフッキー。 フランス留学の日が正式に決まり、彼女との別れが正式に決まってしまった。留学はともかく修行は何年かかるか分からない。多分だけど、俺が修行終えて戻ってくる頃には(挫折しそうな現状で何言ってるんだ俺)彼女はいい彼氏…… いや、旦那さんかもしれないが出来ていい嫁さんになってるんだろうな。 その旦那さんが心から羨ましいよ…… 空港でのクラスメイトの最後の見送り…… 俺は彼女の姿を探したがどこにもおらずに落胆した。あれだけ酷いことを言ってきたのだから当たり前なんだけど、やっぱり落胆した。ところが、それが終わってエスカレーターを降りた先に彼女がいた。そして最後の勝負と言わんばかりにお菓子を食べさせに来た。どうせこれで最後なんだから、いつもの罵倒をやめて普通に美味しいと言ってやるつもりだった、だが、持ってきたのはうちの店の桜餅。 俺が作ったんだから美味しいのは当たり前じゃないか…… 今日のは出来がよかったのか美味しいと言った途端に実は中身を入れ替えていたという衝撃のネタバレが入る。 酷いよ…… でも嬉しい。 ここで「美味しい」と言ったことで、彼女の興味は完全に俺から失せてしまったようで、急にそっけない態度を取られるようになってしまった。 フランス行の飛行機の中でふさぎ込んだんだぜ…… 俺…… 彼女、白鳥花緒莉に想いを伝えておけばよかったかな…… と、パリの空の下で俺は後悔しているのだった。
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