10 エピローグ、太陽の中心で交わしたキスは甘くて苦い

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そんな過去を省みる今日、パティスリーはお休みの日、どうやら日本から来る修学旅行生にお菓子作りの体験会と言うことで店を一日貸し出してるとのことらしい。どんなセレブな学校だよ。 出窓の外より見える凱旋門、その周りの放射状に広がる道路が黄色くライトアップされ、天空に輝く太陽が一日の仕事を終えてバトンタッチするかのようにこのパリの地表に太陽が昇った。 「あいつと夜景見たことあったな…… それで、パリの夜景の(はなし)したっけ…… あいつにもこの夜景見せてやりてぇ」 俺はどうにも上がりきらないテンションのまま、アパートから出て、黄色く染まったシャンゼリゼ大通りを歩き、凱旋門へと向かう。久しぶりに凱旋門の展望台からパリの夜景を見たくなったのだ。 凱旋門はその身を太陽のように黄色く輝かせていた。さて、展望台に行くために螺旋階段にと…… 歩を進めると、女子高生の集団が歩いているのが見えた。修学旅行生の女子グループか…… パリは警官が実銃を裸で持ち歩いてる国だけど、女の子だけじゃ流石に危ないよ…… 女子高生の制服姿だと…… って? おい! 俺が通っていた高校の女子の制服じゃねえか! 修学旅行にパリに来るような学校じゃなかっただろ! どうなってるんだ! 俺は知っている奴がいるかもと思い、その集団に向かって駆け寄った。 俺はその集団の中にショクダイオオコンニャクを思わせるぐらいに魅力的な女の子がいることに気がついた。 言うまでもない…… 白鳥花緒莉だ。
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