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「まず、柏の葉っぱ洗ってもらえる?」
リエは調理台の流しで柏葉を洗い始めた。盥の水につけてあった柏葉がリエの手で擦られていく。
あたしはその間に餡を小分けにし、丸めて餡玉の形にした。それからボウルに上新粉を入れ、同量の熱湯を入れてサッとかき混ぜた、すると、あっという間に真白い餅のようなみょーんと伸びる生地へと姿を変えた。
「白玉粉でもよかったかな?」
上新粉、うるち米を精米し水洗いの後に乾燥させて粉にしたもの。串団子のような風味や歯ごたえを要求されるものによく使われる。
白玉粉、もち米を精米し、粉にして水にさらし乾燥させたもの。つるりとした食感で白玉団子や大福餅などによく使われる。
「洗い終わったよぉ~」
「ありがと、それじゃあボウルの中に入っているお餅みたいなのを食べやすいサイズの玉にしてくれるかな」
「らじゃ」
リエはボウルの中に入っている生地を一口サイズの玉に千切って丸め始めた。
あたしは底に布巾の敷かれた蒸し器にその玉をぽいぽいぽいと並べて入れる。
15分後…… 生地が蒸し上がった。あたしは蒸し器の蓋を開けてぼわっと上がる蒸気の熱さに耐えながら生地の玉を菜箸で取り上げてラップフィルムの敷かれた調理台の上に乗せる。
リエも次の作業が分かっているのか玉の生地をこね始めた。あたしも同じようにこねる。
滑らかになり、弾力も出てきたところで、別所にまとめてあった餡玉を取り出し、平たくした玉の生地の中に入れて二つ折りに包んだ。
「うわ、凄いそれっぽい。後は柏の葉っぱで包んで終わり?」
リエは柏葉を流しから取り出そうとした。だが、あたしはその手を止めた。
「ちょい待ち、これでも食べられないことはないけど…… 後10分蒸すの」
「でも、外見はちゃんと柏餅してるよ」
「見た目はね」
あたしは出来たばかりの柏餅をリエの口に押し込んだ。リエは美味しそうにもぐもぐと咀嚼する。
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