3 おいしいおいしいポテチ

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帰宅後、あたしはポテチ作りに取り掛かった。天童紘汰がポテチ好きと分かった以上はこれで攻めて行くべきだと思ったからだ。 「さて、じゃがいもは……」 我が家のじゃがいもは台所の戸袋の隅に麻袋に入れて保存している。麻袋を開けて芽が出ていないことをチェックする。 じゃがいもの保存方法。光を当てると光合成をして皮が緑色になる緑化現象、及び芽が出る萌芽現象が起こるために日光の当たる場所の保存は厳禁である。7℃~15℃の常温環境での保存が望ましい、かつ、照明の光すらもあてないように新聞紙や麻袋で包む必要がある。 「さて、ボウルに塩と水を入れてと」 ボウルに塩水を入れてしっかりとかき混ぜた。それから流し台のフックに立てかけてあったスライサーを手に…… と、思ったがスライサーが無い。母が何かの料理の時に使って適当な引き出しに入れたのだろうか。無いものは仕方ない、あたしは包丁でじゃがいもをスライスすることにした。向こう側が見えるぐらいに薄くチャーシューを切る食堂のオバちゃんを凌駕するあたしの包丁捌き、とくと御覧じろ。 あたしはスライサー並の薄さでじゃがいもをスライスした。一枚試しに持ち上げてみればリビングの照明が見えるぐらいの薄さ。流石はあたし。 ちなみにあたしの鞄は薄い。鞄の薄さは知能の薄さままに勉強道具は学校に置いていっているけど、この薄さは褒めて欲しいな。 こんな下らないことを考えながらあたしは塩水に付けたスライスポテトを別の水を入れたボウルに移し、スライスポテトの切断面のぬめりを取るために洗った。 ぬめりが取れたところで、じゃがいもを切ったまな板の横に用意しておいたキッチンペーパーの上に乗せて水分を吸い取らせた。スライスポテトの下のキッチンペーパーにじわぁと水溜りが広がる。 本来ならここで更に数時間ほど天日干しで更に水分を取るのだが、今日は生憎の雨模様、割愛しよう。
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