3 おいしいおいしいポテチ

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「ちょっとー 今あんたの家に来てるんだけどー 早く開けなさいよ」 まさかのリエ訪問。あたしは素早く椅子からスッと立ち、玄関に向かって走った。玄関を開けるとリエが不機嫌そうな顔をしてとんとんと傘の水を落としながら立っているのだった。 「どうしたの? リエ?」 「たまたま近くに来たから寄っただけ」 用事が何かはどうでもいいが寄ってくれただけでも嬉しい。ちょうどポテチもあることだしリエをもてなすことにした。 「今丁度ポテチ作ってたから、食べてく?」 あたしがそれを言った瞬間、リエは気まずそうな顔をした。左手に握られている雨に濡れたコンビニ袋、その中にはお菓子がぎっしりと詰められていた。その中にはポテチの袋も入っている。 「何? お菓子買ったついでにうちに寄ったわけ?」 「うん、家で食べる分には多すぎだから花緒莉とちょっとわけわけしようかなって」 あたしは苦笑いをしながらリエをリビングに招き入れた。生憎とわけわけはしなくていいけどね。 「本当に花緒莉のお菓子って美味しいわね」 リエはポテチを口に運んでいた。コンビニで買ったものではなくあたしの作った方だ。 パリ…… パリ…… と、言った軽快なポテチが砕ける音がリビングに響く。 「本当にお菓子作りが趣味なだけよ」 「ポテチとか普通買うよね? じゃがいもスライスとか油用意するのとか面倒くさくない?」 「本当に趣味でやってるだけだから…… それにコンビニ行って帰ってくるのとスライスとか油揚げる時間もぶっちゃけよく変わんないし」 「そう言えば…… 今日は何でポテチ? もしかして天童くんの話聞いたから?」 「うん、あいつがポテチ好きだって言うからポテチで勝負挑めば勝ち目あるんじゃないかなって」 「もうあいつと関わるのやめたら?」 「どうして?」 「あんな和菓子屋のボンボンで、あんこでどうかしてる舌にあんたの作るおやつが合わなかっただけでしょ? 前にもそれ言ったと思うけど」 「そうかも知れないけど……」 「人の好みは人それぞれ! もうあいつに花緒莉のお菓子食べさせたところで舌が合わなければ「美味しい」って言うはずないんだから諦めよ? ね? ね? 花緒莉、あいつと関わってから何か変だよ」 「あれ? 変かなぁ……」 「そうじゃない。天童くんに不味いって言われてからムキになってお菓子作ってる感あるよ」
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