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「本当にこのポテチ美味しいね、でも……」
場の雰囲気を変えるためか、リエはいきなりポテチの味の話を始めた。
「でも、何よ」
「代わり映えしないポテチ? い、いや、美味しいんだけどさぁ…… これだったら手間暇かけて作るぐらいならコンビニで買えばいいかなって感じ」
「そう、なのよねぇ。あたしもそれは分かってる」
「いい意味でも、悪い意味でもポテチ? 花緒莉の手作りお菓子って感じがしないのよね」
「正直な話、お菓子作ってるって言うよりはおかずに近いかもね」
あたしは台所に行き、いくつか調味料を持ってきた。バター、醤油、塩コショウ、トマトケチャップ、マヨネーズ…… あたしはそれらを小皿に取り分ける。
「ぶっちゃけた話、揚げた後は味付け次第でどうとにでもなるのよね」
リエは小皿に取り分けた調味料にポテチを浸して食べ始めた。
「そうそう、ポテチメーカーだって揚げるまでは全部作業工程似たようなもんだと思うよ」
「後は香料の問題、コンソメだったり、サワークリームオニオンだったり、唐辛子だったり、結局は最後の味付け次第だもんね。ま、たまにフルーツとかケーキとか奇を衒ったものとか出てくるけど……」
「じゃ、芋そのものを変えちゃおうか? 里芋、長芋、山芋、薩摩芋、じゃがいもとは違った食感だよ」
「それこそポテチメーカーどこでもやってることよ。結局、じゃがいもの牙城は揺るがないじゃない」
「そっかあ…… じゃ、分厚くしちゃおうか」
「これもポテチメーカーどこもやってる。厚く切った場合はそれだけ揚げる回数を増やして火を通るようにしてる」
「ポテチって開発されきっちゃってるよね……」
「それこそさっきのフルーツやケーキしか新しい手無いよね……」
それだけ言い残してリエは家を後にした、本当に近くに来たから寄っただけだったようだ。
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