3 おいしいおいしいポテチ

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「ポテチのフレーバーをベーコンチーズ味にしてみました」 「何で俺が朝からポテチなんて食べなきゃいけないんだよ…… 太っちまうよ」 なら机の上に並んでるパーティー開けのされたポテチの袋はなんだと小1時間問い詰めたい。あたしは引かずに天童紘汰にポテチを食べることを促す。 「いいから食べなさい」 すると、天童紘汰と話していた友人が助け舟を出した。 「いいじゃねぇかよ。食べてやろうぜ? 朝から高カロリーってのもいいじゃないか。俺らも食ってたしな」 彼はポテチを一枚、口に入れた。口に入れた瞬間に「慣れ親しんだ味」がふわりと広がる。 「何だよこれ! カーチャンが作るじゃがベーコンと似たような味だぞ!」 他の子達も一斉にポテチを手に取り食べる。食べた瞬間に皆一斉に「美味い」「美味しい」などと言いだす。次に言いだすのは「じゃがベーコン」「じゃがベーコンチーズ」と味が似ている。当たり前だ、それと同じ材料で作っているから、当たり前。 「それに一番美味しい焦げの部分の味しかしないぞ!」 これも計算済み、揚げ終わってチーズを網掛け状にかける際に別のフライパンに移して軽く炙って焦げを発生させたのだ。そうすればポテチもチーズも軽く焦げさせることができる。だが、あたしはここで終わらない。もう一つの布石を打っておいた。 「肉の風味が凄いよね」 そう、揚げ終わって焦がすためのフライパンに移す間に電子レンジでカリカリベーコンを作っておいた。一度は別のフライパンでカリカリになるまでベーコンを焼こうと思ったが、今は科学万能の時代、生ベーコンをそのまま二分ほどチンするだけでカリカリベーコンの完成だ。電子レンジがどんな技術で出来てるかは知らないけど科学万能の時代に感謝としか言いようがない。 カリカリベーコンはペキンと折れるぐらいに脆くて硬い、そうすれば砕くのは簡単だ。包丁の背でガンガンやってもいいし、ミートハンマーで一気にパリンパリンと砕いてもいい。 後はそれを炙り済みのポテチの上に振りかければ完成!  ポテチを食べた男子が一斉にあたしに握手を求めてきた。 「こんな美味しいポテチ初めてだよ有難う!」 あたしはドヤ顔で頷いた。評判は上々みたいで何よりだ。 さて…… 肝心のあいつは? 天童紘汰もポテチを口に入れていた。周りが美味しいものを食べたような笑顔をしているのに対して訝しげな顔をしていた。まさか、高級和菓子屋の家ではこんなものは出てこないから舌に合わないってオチはやめてよ?
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