4 回転寿司でお菓子を食す

12/12

20人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
あたしが内心で怒りを燃やしていると弟があたしの袖をくいくいと引っ張った。 「姉ちゃん、家ついたよ」 あたしは辺りを見回した。いつも見慣れた近所の風景、どころか自宅前だ。つばめ寿司を出てから1分も経っていないように感じられた。あたしの家からつばめ寿司までは歩いて15分ぐらいなのに…… スマートフォンの時計を見れば20分は経過していた。どうしてこんなに時が短く感じたのだろうか…… あたしにとって宿敵と一緒にいる苦痛タイムのはずなのに。 「家、ここだから。送ってくれてありがとう」 あたしは天童紘汰にペコリと頭を下げた。お礼こそ言ったもの感謝の気持ちは欠片程もない。 天童紘汰が姿を消すと同時に弟がポツリと言い出した。 「面白い人だったね」 どこが? あんな不快指数が服着て歩いてるような男のどこが面白く見えるのか。 プールの授業の塩素で目が真っ赤なのがまだ続いてるのだろうか。お姉ちゃんの柔らかぁい柔らかぁい膝で膝枕をして目を通り越して脳の奥までキーンと冷えるような目薬してあげるからね。そうすれば「嫌な男」に見えるだろう。 ほんと、嫌な男にね……
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加