5 君がいた夏祭り

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あたしはサウナのように暑い玄関先から涼しいリビングに戻った。テレビで流れる高校球児はまだ試合中。子ども会の男が来る前に見た点差は変わっていない。 「地元の人、隣町の花火大会に行っちゃうのよね…… 悲しいながら」 あたしはこう言いながらお菓子詰め合わせの引換券をテーブルの中央にはらりと投げ捨てた。弟にこれの処遇をどうするか聞いたところで「いかなーい」と言われるだろう、多分、数時間後にはゴミ箱にシュートされるだろう。酷い話。 それもそのはず、今回はあたしの町内の盆踊りの同日に隣町で花火大会が行われる。 露店も何もない盆踊りと、露店が出てドッカンドッカンと数千発を打ち上げる花火大会、どちらに行きたいかと言われれば答えは決まっている。あたしだってリエを含めた地元の友達数人で花火大会に行く算段を夏休み開始前から既に立てていた。
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