5 君がいた夏祭り

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「じゃ、花火大会開始まで屋台飯でも摘んでましょうか」 あたしはお社の方に足を動かした。その刹那、一人の友人があたしを止めるように言った。 「ちょいまち。実は女の子同士ってのも男日照りで不毛って思ったから、男子呼んだの」 原始時代の恐竜渦巻く原生林を生肉持って物見遊山するような真似をよくもまぁ。 まぁ、この娘の付き合ってる男子はヤンキー系じゃない、大丈夫だろう。 「あ、来た来た」 友人は手を振ってうちのクラスの男子を呼びつけた。面子は…… スクールカースト上位のイケメン運動部所属の男子たち。リエ含めた友人達は男子を呼ぶことに決めた友人に対して「よくやった!」などと言った称賛を送る。しかし、あたしだけは「何故こんなことした」と言った怨嗟の目で彼女を睨みつけた。他の男子と一緒なのは問題ない、問題は先頭にいた天童紘汰だ。何でこいつまで呼ぶのよ! 天童紘汰はあたしの姿を見るなりに小走りに駆け寄ってきた。 「あれ? 白鳥じゃん、何でこんなところにいるの?」 「祭りの参加以外何があるのよ。いちゃいけない?」 「べ、別にそういう訳じゃないけど」 「あんたの方こそなんでいるのよ? フランス留学してるんじゃなかったの」 「おいおい、お盆前に帰ってくるって言っただろ?」 「あらあら、ごめんなさいね。あたし、鳥と一緒ですぐにものを忘れるから、あんたがフランス留学に行くってことしか覚えてなかったわ」 嫌味ったらしい蓮っ葉な口調。あたしは自分の口調に気持ち悪さと寒気を覚えた。 「酷いな…… お前。何で俺に対してこんなに冷たいの?」 分かってないのか、こいつ。皆はこう言いたげに天童紘汰に白い目を向けた。 場の空気が一気に冷え込んだ。流石にあたしらの諍いで夏祭りを台無しにするのは許されないこと。あたしはなるべく天童紘汰を無視して行動することにした。 「よし、じゃあ行こうか?」
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