6 頭に唐菓子の詰まったような女、莫迦梵梵たる男

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「皆さん、特に男子の方なんかが女性を罵倒する時に使う言葉ですね『スイーツ(笑)』始めはお菓子をスイーツって横文字で呼ぶ女性をコケにしたネットスラングだったのですが、知らないうちに一般層にも広がってましたね。こういった女性の思考回路を馬鹿にしてスイーツ脳と呼ばれることもあります。言わば、唐菓子の詰まったような女とはスイーツ脳の語源みたいなものです」 いつの時代も男が女を罵倒する言葉のセンスは変わらないと言うことか。でも、お菓子作りを趣味にしているあたしからすれば褒め言葉かもしれない。 「それで、今言った唐菓子ですが…… 令和の今になってもどのようなお菓子だったかがよく分かっていません。まぁ、真面目に調べる古文の学者さんが少ない…… いや、いないだけかも知れませんが」 あれ? 今、夢見心地の天童紘汰の店には「唐菓子」が売っているんだけどな。確か茶色いカリっと揚げた茶巾袋にあんこが入ったものだったような…… 「私、唐菓子(からがし)と呼んでいますが、その実、読み方も形すらもわかっていません、唐菓子(からくだもの)と呼ぶ文献もあれば唐菓子(とうがし)と呼ぶ文献もあります。形も色々とありすぎてよく分かっていません、茶巾袋のようなものであったり、柿のような形をしていたり、首に巻くストールのような形をしていたり、様々です。製法としては小麦粉や米粉を胡麻油で揚げたものとしか伝わっていないので、これを満たすもの全てが唐菓子と言うのかも知れませんね」 粉物を揚げれば唐菓子か…… 力士の食べ物は全てちゃんこと呼ぶ空気に近いものを感じる。
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