思い出のクライマックスジャンプ

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 座布団に腰掛け、俺は部屋を見回した。  棚に所狭しと並べられたフィギュア。  壁に貼られた特大のポスター。  そして、部屋中に溢れる変身アイテム。  ベルトや派手な形の剣、更にはカプセルみたいなものまで様々だ。  そこら中にあるのは、多分いつも遊んでるからなんだろう。  思った通り、女の子らしくない部屋だ。  いや、女の子らしい部屋ってのも、よくわからないんだけど。  何となく落ち着かずにソワソワしていると、ドアが開いて部屋の主が入ってきた。 「飲み物とお菓子持ってきたよ!」  ナルコさんが持ってきたのは、特大のコーラ。そして、瓶詰めにされた大量のラムネ。  コーラはともかく、なんでラムネ? 「これ食玩のお菓子なの。どうしても余らせちゃうんだよね。勿体無いから捨てられなくて」  何時から溜めてるのかは、怖いから聞かないことにしよう。  確か、ラムネにも賞味期限あるよな…? 「さあ、何から観る?何から観る?」  ナルコさんがBlu-rayを並べる。  全て電王が出ている映画らしい。パッケージに描かれていないのもあるが、ナルコさんが出したなら間違いないだろう。 「…じゃあ、これ」  俺が手に取ったのは、『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』。  何回か、話題に上がっていた映画だ。  観てないことを素直に言ったら、ナルコさんに肩を掴まれ、『観てないとかありえないからー!!!?』と絶叫された。 「お、遂にいっちゃう?驚いてもしらないよ?最初っからクライマックスだよ?」  ニヤニヤしながらBlu-rayをセットするナルコさん。  そういえば、何回か内容聞いたけど教えてくれなかったな。  ネットで調べるのも禁止されてたし、徹底的に情報規制されていた。 「大丈夫大丈夫!ぶっ飛び保証付き!騙されたと思ってわたしに釣られてみなよ」  そして、平成ジェネレーションズが始まった…。
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