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映画が終わった。
俺は顔を伏せたまま、動けないでいた。
顔を上げられない。多分、物凄く情けない顔をしてると思うから。
流石に見せられないよ。
憧れの女の子に、こんなぐちゃぐちゃな泣き顔なんか。
「…はい」
ナルコさんがティッシュを差し出す。
気を遣っていてくれてるのか、ちょっとだけ視線を逸らして、俺の方を見ないようにしてくれている。
「涙はこれで拭いとき…って、キンタなら言うと思う」
俺はティッシュを受け取って、涙を拭いた。
「…ネタバレしなくて良かったでしょ」
「…うん」
ありがとう、ナルコさん。
最初から知ってたら、多分こうはならなかったと思う。
「最終回でさ…いつか、未来でって、良太郎が言ってたんだ」
その言葉とラストシーンだけは、いつまでも覚えていた。
小さな頃に感じた寂しさも。
「未来で会えたよ。また、良太郎に」
俺の言葉に、ナルコさんは満足げに頷いた。
「よし!もう一度観よう!今度は楽しくやろうよ!」
「えっ…?もう一度って…今観たばっかり…」
「いーからいーから!二回目には二回目の発見があるから!」
無邪気にBlu-rayを再生するナルコさんを見ていたら、なんだか俺まで楽しくなってしまった。
…この後、平成ジェネレーションズばかり何回もリピートし、『地獄の平ジェネマラソン』として俺の記憶に深く刻まれることになるのだが、それはまた別の話である。
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